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吹奏楽やアンサンブル楽譜の出版を行うムジカ・エテルナ合同会社のブログです。出版作品をちょっと変わった角度から紹介したり、新作の発売情報をいち早くお届けしたりします。演奏会の情報なども告知していきます。

スーザの創作と生涯⑤ ~「星条旗よ永遠なれ」

こんにちは!ムジカ・エテルナです。

 

ムジカ・エテルナから出版されます

「スーザの名曲マーチ特集」として石原勇太郎氏に執筆を依頼させていただきました

スーザの生涯と創作についてのコラムを、第五弾をお届け致します!

 

この機会に、スーザに対する見聞を少しでも広げていただけましたら幸いでございます。

それでは、スーザの創作と生涯。そして今回取り上げるのは「星条旗よ永遠なれ」です。

それでは、早速詳しく迫ってみましょう!

 

 

アメリカの作曲家ジョン・フィリップ・スーザ(1854 – 1932)は、「行進曲王」という二つ名で、世界的に知られている。しかし、彼の生涯と創作活動が(特に日本では)同時に語られることは、ほとんどない。そこで、ムジカ・エテルナ合同会社が販売する、スーザの楽譜の解説として、あまり知られていない、スーザの生涯と創作について取り上げることにしよう。

 

スーザの行進曲の創作

生涯に138曲もの行進曲を作曲したスーザであったが、驚くべきことに基本的には、以下の2つの形式のみを用いて行進曲を作曲し続けた。

 

①前奏 ― 第1マーチ ― 第2マーチ ― トリオ ― エピソード ― トリオ

②前奏 ― 第1マーチ ― 第2マーチ ― トリオ ―(エピソード)― 第3マーチ

 

元々、行進曲は上記の①、②のような形式が「完成されたもの」として、スーザ以前から存在していた。ベートーヴェンマーラーソナタ形式の枠組みを拡張し、ワーグナーがオペラの概念を拡張したように、音楽史に名を残す巨匠たちは、自らの創造性に基づいて、伝統的な枠組みを作り変えていった。しかし、スーザは行進曲の伝統的な形式を破壊することなく、数多くの名作を生み続けたのである。では、スーザは行進曲に対してどのような考えをもっていたのだろうか。その答えは、自叙伝“Marching Along”の中にある ―『行進曲は立派なものでなくてはならない。大理石の彫刻のように完璧であって、無駄があってはいけない。無駄ができてしまったら、それは行進曲とは呼ぶことができない』。

 

行進曲に対して、特別な想いを抱いていたスーザだからこそ、その伝統的な形式を破壊したり、拡張させることなく使用したのである。そしてその中で、スーザにしか書くことのできない ― スーザが言うには「神から与えられた」― 旋律の数々を紡いでいったのである。

 

星条旗よ永遠なれ

1896年の11月、スーザバンドのプロデューサーでもあったスーザの友人、デイヴィッド・ブレイクリーが亡くなった。休暇でイタリアへ旅行していたスーザに、スーザバンドのスタッフが電報を打ったものの、それはスーザの手に渡ることはなく、スーザがブレイクリーの死を知ったのは、彼の亡くなった4日後の新聞記事であったという。

 

スーザは慌てて、帰国の途についた。ニューヨークへと向かう船の中で、スーザは様々なことに想いを巡らせた。亡くなった友人ブレイクリーのこと、彼のいなくなった後のスーザバンドのこと、今後の仕事の行方、そしてアメリカ海兵隊バンドの隊長だった頃に何度も見たホワイトハウスに掲げられた星条旗。そんなスーザの中に、突如として音楽が鳴り響き始め、その音楽はニューヨークに着くまで鳴り止むことはなかった。ニューヨークに到着すると、スーザはこの音楽を五線譜の上に落とし、その後「一音も音符を書き変えることはなかった」。そのようにして完成したのが、世界中で最も愛されている行進曲と言っても過言ではない《星条旗よ永遠なれ》である。

 

星条旗よ永遠なれ》は、スーザの行進曲の中でも規模の大きい行進曲である。《ワシントン・ポスト》や《エル・キャピタン》のように、ユニゾンによる前奏ではなく、和声的な指向性の与えられた前奏が付けられ(最も、1小節目はユニゾンであるが)、第1マーチが続く。第1マーチの豪然たる雰囲気には、バスの動きが強く影響している。本作の第1マーチのバスは、単純な強拍の刻みではなく、躍動しつつ下行してゆくという、スーザの他の行進曲ではあまり見られない特徴的な動きを見せる。続く第2マーチでは、フルートのオクターヴ跳躍が、素朴な旋律を飾る。トリオは一変して穏やかであるが、バスの動きはやはり独特の推進力を持っている。低音楽器群が中心となる猛烈な下降音型と、半音階が鳴り渡るエピソードに続いて、トリオが繰り返される。繰り返されたトリオでは、ピッコロの華麗なオブリガートが。またもエピソードを挟むと、3度目のトリオに進むが、ここではトリオの旋律と、ピッコロのオブリガート、さらにトロンボーンの対旋律(スーザはそれぞれの旋律がアメリカの3つの地域を象徴していると述べている。すなわち、旋律が北部、オブリガートが南部、対旋律が西部である。)が混ざり合い、行進曲ではまず聴くことのできない、荘厳な音響空間を生み出す。

 

現在でこそ、《星条旗よ永遠なれ》という、なんともアメリカ人の愛国心をくすぐる題名が付けられているが、作曲当初は題名がなかった。1897年になってやっと、この輝かしい題名が付けられ、この行進曲自体も「永遠」のものとなったのである。

文章:石原勇太郎(音楽学)

 

ムジカ・エテルナから販売されている《星条旗よ永遠なれ》の楽譜はこちらからご購入いただけます♪

フルスコアのみの販売もさせていただいておりますので、是非この機会に選曲の参考にしてみてはいかがでしょうか?

 

store.musica-eterna.com

 

ムジカ・エテルナは皆様のコンサート作りを全力で応援いたします!