ムジカ・エテルナ オンラインストア公式Blog

吹奏楽やアンサンブル楽譜の出版を行うムジカ・エテルナ合同会社のブログです。出版作品をちょっと変わった角度から紹介したり、新作の発売情報をいち早くお届けしたりします。演奏会の情報なども告知していきます。

【CD紹介】ムジカ・エテルナ吹奏楽コレクション Vol.1 組曲「展覧会の絵」

おはようございます!ムジカ・エテルナです!

本日は、弊社の販売楽譜を収録したCDの宣伝をさせていただきます♪

 

ムジカ・エテルナ合同会社より出版されている新作を集めた吹奏楽コレクションが、おかげさまで好評発売中です!

f:id:musicaeterna:20170718091637p:plain

コンクールに演奏会、様々な演奏機会に対応できる充実のラインナップでお届けします!


2016年に新しく設立された出版社、ムジカ・エテルナの新作を集めた吹奏楽コレクション。本CDでは新世代を担うであろう注目の若手作編曲家を起用し、とても新鮮なプログラムになっています。


クラシックの名曲から、書き下ろし新作までを網羅した1枚になっており、「小編成でこんな曲がやってみたかった!」「大編成で他のバンドが選ぶ曲とは違う曲を演奏したい!」という様々なニーズにお応えできる作品集になっています。


もちろん全ての曲が販売楽譜として連動しており、選曲の味方になること間違いなし!

価格:2500円+税(税込2,700円)

 

■楽曲解説
1.~5.創作主題による変奏曲《エニグマ》op.36(作曲:E.エルガー 編曲:今村愛紀)
[小編成向き]
E.エルガーの名曲であるエニグマ変奏曲を小編成向けにアレンジされた作品。全ての楽章の中でも特に「ニムロッド」が有名である。最近では、吹奏楽コンクールで取り上げられることも多いが、元々の編成が大きいため小編成ではなかなか演奏される機会が少ない。難易度は高いものの、メリハリのあるそれぞれの楽章が演奏効果を引き立たせる楽曲となっている。

 

6.アーサーの玉座〜丘が見たもの〜(作曲:下田和輝)
[小編成向き]
スコットランドにある自然遺産「アーサーの玉座(ぎょくざ)」をモチーフにした小編成作品。もし丘に感情があったのならば、長い歴史や世界とは一体どんなものだったのかを物語的にまとめられた作品になっている。

 

7.~10.組曲展覧会の絵」(作曲:M.ムソルグスキー 編曲:小野寺真)
[小編成向き]
誰もが耳にしたことのあるムソルグスキー展覧会の絵を、小編成でも演奏できるようにアレンジされた作品。最低14名から演奏が可能であるものの、良い意味で小編成らしくない、スケール感が大きく演奏効果が高い楽曲。

 

11.トライ・トライアングル(作曲:藤代敏裕)
[中編成〜大編成向き]
トライアングルの三角形が意味するように三拍子で書かれた中編成向けの楽曲。難易度は中高生のバンド向きに作られている。楽章もトライアングルを意識した三楽章形式になっており、楽章を通して使用されるモチーフが演奏者・聴衆にインパクトを残す作品である。

 

12.時計台と広場(作曲:山本雅一)
[中〜大編成向き]
作曲者が、ロンドンにあるパーラメントスクエアに訪れた際にインスピレーションを得て作曲された作品。街の賑やかな情景や、悠然とそびえ立つ時計台・辺りの広場が描写されており曲中の変化に富んだ非常に楽しい楽曲となっている。

 

13.残照に広がる藍(作曲:日景貴文)
[大編成向き]
夕日が沈んでからの、雲や山頂を輝かせる藍色の残照を表現した作品。残照の様々な移り変わりが、大編成吹奏楽の響きとマッチしており、これぞ吹奏楽だ!と言わんばかりのダイナミックな作品に仕上げられている。

 

14.Glanz-祝典のための-(作曲:高橋宏樹)
[中編成〜大編成向き]
Glanzとはドイツ語で「栄光」を意味する言葉である。一般的なコンサートマーチとは異なり、ゆったりとした曲調の行進曲。厳かな雰囲気の学校行事や、祝典での演奏、コンサートのオープナーに最適な楽曲となっている。

 

15.終幕のギャロップ(作曲:高橋宏樹)
[中編成〜大編成向き]
タイトルの通り、アンコールに最適な楽曲。ギャロップとは馬が疾走するときの一番早い走り方を意味し、今にも馬がパッパカ走り出しそうな、そんなスピード感を持ったエキサイティングな曲に仕上げられている。

 

以上が、収録曲の簡単な解説でございます。

演奏会の選曲に必ず役に立つ楽曲ですので、是非お手に取って聴いていただけますと幸いでございます。

本日の告知はここまでです!

ムジカ・エテルナでは、皆様のコンサート作りを全力で応援いたします!

 

CDの販売サイトは、こちらから!
 
楽譜の販売サイトは、こちらから!

【商品紹介】あの名曲がムジカ・エテルナより登場!ポップスステージで演奏してみては?

 

本日は、海の日ですね!皆様、いかがお過ごしでしょうか?

思い思いの連休最終日かとは思いますが、素敵な休日をお過ごしくださいませ!

 

本日の、商品紹介は世代を超えて愛されるTHE BOOM「風になりたい」です。

この曲のアレンジは、ニューサウンズインブラスなどでもアレンジャーを務める木原塁先生が担当してくださっています。

実は、この「風になりたい」。大編成版小編成版の2種類がムジカ・エテルナより出版されています。演奏される編成に合った楽譜を選ぶことができます!

 

それでは、木原塁先生による解説を読んでみましょう!

2014年に惜しまれつつも解散した人気グループ“THE BOOM”が、1994年のアルバム『極東サンバ』に収録した代表曲。
翌1995年にはシングルカットしてリリースし、ロングヒットとなっている。
たびたび民族色の強い作品をリリースする彼らだが、この曲は「日本のサンバを作りたい」という宮沢和史のひらめきから作られた。よくある「サンバ風歌謡曲」ではなく、心地よいブラジルのリズムに乗せて歌われるナンバー。
現在までに、国内外で多くのアーティストにカヴァーされている他、CMやドラマに度々とりあげられている。また音楽の教科書にも掲載されるなど、世界中で根強い人気を誇る楽曲である。
この吹奏楽編曲では、サンバのリズムはそのまま。原曲より少々賑やかに、そして中間にFluteとA.Sax.のSoloを挟み込むかたちでアレンジしている。
1997年、神奈川県立荏田高等学校吹奏楽部の定期演奏会用に書き下ろしたアレンジを再編曲。(木原塁)

 

この曲の演奏のポイントはこちら!

【大編成版の編曲・演奏のポイント】
原曲に比べると賑やかな編曲ではありますが、速すぎず、歩けるぐらいのテンポ設定が肝要です。
演奏に際しては勢いにまかせず、16分音符が長めに余裕をもって発音できるように。ブラジル音楽の特徴である、16分音符の1つ目と4つ目が強調されるリズム・パターンを常に意識して演奏しましょう。
また、ダイナミクスアーティキュレーションには常に注意してください。特に、伴奏を担当する際には旋律やソロが気持ちよく演奏できる音量バランスになるよう心がけて。ただし、その際も輪郭がぼやけてしまわないように演奏する事が重要なので、全員で小さく演奏するのではなく、人数を絞って演奏するなど工夫してみてください。
打楽器は、多くのブラジル系打楽器が使われていますが、楽器を所有していない場合、ラテン楽器を加えるとサウンドがキューバ音楽になってしまう事もあるので、楽器の選択に気をつけてください。人数が多い場合などは、Surdo(F.Tomでも代用可)やShakerなどを増やす方向が良いでしょう。Caixa(Snare Drum)を複数加えるのもひとつのアイデアです。
通常編成版では、Cornetパートも加わっていますが、Trumpetの人数が多い場合にはこれらが木管楽器の助けになるでしょう。ただし、Trumpetで演奏してしまうと混ざらないので注意しましょう。GuitarはAcoustic指定になっていますが、Electric Guitarでも問題ありません。その場合は、クリーントーンでコード・カッティングをしてください。(木原塁)

【小編成版の編曲・演奏のポイント】

原曲に比べると賑やかな編曲ではありますが、速すぎず、歩けるぐらいのテンポ設定が肝要です。
演奏に際しては勢いにまかせず、16分音符が長めに余裕をもって発音できるように。ブラジル音楽の特徴である、16分音符の1つ目と4つ目が強調されるリズム・パターンを常に意識して演奏しましょう。
また、ダイナミクスアーティキュレーションには常に注意してください。特に、伴奏を担当する際には旋律やソロが気持ちよく演奏できる音量バランスになるよう心がけて。ただし、その際も輪郭がぼやけてしまわないように演奏する事が重要なので、全員で小さく演奏するのではなく、人数を絞って演奏するなど工夫してみてください。
打楽器は、多くのブラジル系打楽器が使われていますが、楽器を所有していない場合、ラテン楽器を加えるとサウンドがキューバ音楽になってしまう事もあるので、楽器の選択に気をつけてください。人数が多い場合などは、Surdo(F.Tomでも代用可)やShakerなどを増やす方向が良いでしょう。Caixa(Snare Drum)を複数加えるのもひとつのアイデアです。
GuitarはAcoustic指定になっていますが、Electric Guitarでも問題ありません。その場合は、クリーントーンでコード・カッティングをしてください。(木原塁) 

 

難易度は決して簡単ではありませんが、賑やかでワクワクするような編曲となっています♪ 

 

ご注文および編成詳細は下記リンクをクリック!

-小編成版-

風になりたい-小編成版- 宮沢和史 作曲 [吹奏楽-小編成] - 吹奏楽・アンサンブル楽譜のムジカ・エテルナ オンラインストア

-大編成版-

風になりたい-大編成版- 宮沢和史 作曲 [吹奏楽] - 吹奏楽・アンサンブル楽譜のムジカ・エテルナ オンラインストア

 

本日は以上です!

夏本番の季節、「風になりたい」を演奏してお客さんと盛り上がってみませんか?

ムジカ・エテルナでは、皆様のコンサート作りを全力で応援しています!

弊社オンラインストアの決済方法を追加しました!

こんにちは!ムジカ・エテルナの豊永です。

 

連日、暑い日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?

熱中症には、十分ご注意くださいませ!

 

さて、ムジカ・エテルナ オンラインストアではキャリア決済(スマートフォン支払)と、ペイジー決済を追加いたしました!

 

キャリア決済は、月々の携帯代金と一緒にご精算いただけるシステムです。

現在は、大手キャリア(docomo / au / softbank )に対応致しております。

 

ペイジー決済とは、注文時に発行される「支払用の番号」をご利用の金融機関のインターネットバンキングサイト、モバイルバンキングサイト、ATMに入力しお支払いいただくことが可能です。

詳しくはこちらのサイトをご覧くださいませ♪

www.pay-easy.jp

 

それでは、

ムジカ・エテルナ オンラインストアにて、是非お買い物をお楽しみくださいませ!

 

そして、

素敵な3連休をお過ごしくださいませ♪

 

store.musica-eterna.com

 

 

以上、本日は決済方法追加のお知らせでした!

今後とも、ムジカ・エテルナ オンラインストアをよろしくお願い申し上げます。

コラムをご覧いただきましてありがとうございました!

こんにちは。ムジカ・エテルナです!

 

最近では天気も不安定で、地域によっては甚大な被害が出ている地域もあるかと存じます。心よりお見舞い申し上げます。

 

1週間に渡りお届けして参りました、

「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」をご覧くださいまして、誠にありがとうございました!

今回のコラムは、課題曲を通して音楽学の導入部分を勉強するという趣旨でこのコラムを石原勇太郎氏に執筆いただきました。

 

今後も、ムジカ・エテルナは「世界最高の、感動と喜びを」をビジョンに掲げ

皆様にとってより良いコンテンツをお届けできるよう邁進して参ります。

 

今後とも、ムジカ・エテルナをよろしくお願いします!

次回は、弊社販売楽譜を石原勇太郎氏に解説をいただき商品を紹介していきます。

どうぞご期待くださいませ!

store.musica-eterna.com

【コラム】課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口(課題曲Ⅴ:メタモルフォーゼ〜吹奏楽のために〜)

【コラム】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」

コンクール応援企画として投稿しておりますコラムもいよいよ最後となりました!

皆様、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました♪

第五弾は、課題曲Ⅴ:メタモルフォーゼ〜吹奏楽のために〜(川合清裕)です!

音楽学から見た課題曲とは…

それでは早速、石原勇太郎氏による音楽学の世界へどうぞ!

 

文章:石原 勇太郎(音楽学

 

課題曲V:メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~(川合 清裕)――変容、現代音楽の分析ツール

 若手作曲家の川合清裕さんの《メタモルフォーゼ》は、拍子の変更がとても多いですが、流れに不自然さを全く感じさせない見事な作品です。《メタモルフォーゼ》とは、川合さんが述べているように「変容」、「(生物の)変態」を示す言葉です。同様の題名は、R.シュトラウスの《メタモルフォーゼン》がすぐに思いつきます。つまり、音楽の内容としては何かが変容してゆく様を描いた、あるいは変容すること自体に意味があると考えるのが普通です。そして、この意味を明らかにするためには、特にこの《メタモルフォーゼ》の場合、分析が有効になります。

 川合さんはスコアの中で「1曲を通して変容するのは“調性”と“拍子”」であると述べています(川合: 2)。この言葉に従って、まずは拍子に注目してみると、作品が進むにつれて、徐々に拍子の分母が細かくなってゆくのがわかります。しかし、ただ分母が細かくなるのを確認しただけでは、音楽の中で何が起こっているのかわかりません。練習番号Eで旋律の音価が瞬時に変更されています。つまり、ここで「なにか」が起こったのです。一方、調性の変容というのは、つまり「中心的な音組織のある部分(=調性のある部分)」が「中心的な音組織のない部分(=調性がない=無調の部分)」へ変化することです(『すいそうがく』: 4)。このような作品は分析が非常に難しいですが、一方で非常に分析しがいのある作品でもあるのです。

 まず、「変容」について良く知りたいという方は音楽学者R.レティの『名曲の旋律学 クラシック音楽の主題と組立て』(水野信男 他訳)を参照してみることをお勧めします。この著書では旋律の変容について詳細に書かれています。川合さん自身は、「調性」と「拍子」の2つが変容すると述べていましたが、それらの変容は同時に、旋律的な変容も生み出しています。また、『名曲の旋律学』は、一時期音楽学の世界でも流行ったものですので、《メタモルフォーゼ》以外の作品(例えば、今年度の他の課題曲)の分析に役立つ視点も提供してもらえると思います。

 そして、現代音楽を分析するためのツールも、音楽分析の世界にはいくか存在します。一般に「ピッチクラスセット理論(Musical set theory)」あるいは「ポスト調性理論(Post-Tonal Theory)」と呼ばれる理論があります。これは未だアメリカの音楽学の中で発展し続けている最先端の分析理論です。「ポスト調性」という名の通り、調性以後、具体的にはR.ワーグナー以後の無調の音楽を分析する際に使用されます。ひとつひとつの音に番号付けを行い、それらをいくつかのセットとして扱うことで、作品内に存在する、見えざる秩序を見出すことが可能になります。この理論の第一人者A.フォートの『無調音楽の構造 ピッチクラス・セットの基本的な概念とその考察』(森あかね 訳)が、日本語で読むことができるので、《メタモルフォーゼ》のような作品はもちろん、B.バルトークやI.ストラヴィンスキーの作品を分析したい方には、特にお勧めです。《メタモルフォーゼ》の場合、この理論が特に有効だと考えるのは、調性の変容過程を明らかにできる可能性があるためです。《メタモルフォーゼ》のような作品を解釈するためには、まずは作品を分析することから始める必要があります。その上で、作曲者の解説や、他者の解説などを検証しつつ、少しずつ解釈を組み上げてゆくのが確実なのではないでしょうか。

 

・まとめ

 以上、それぞれ異なった視点、方法で5つの課題曲を、極めて簡単にとらえてみました。本来は分析にしろ解釈にしろ、より深く作品へと入っていくものですが、ここではそれらの入口を少しだけ紹介することに重きをおいてみました。少しでも、皆様のお役に立てていただければ幸いです。最後に音楽分析についてゴナールが述べていた興味深い見解を引用して本稿を閉じさせていただきます――[音楽理論は]わたしたちの感性が受け取るものと、それを理論的に表現することとを橋渡しする、すなわち、「感覚的理解 saveur」と「知的理解 savoir」とを橋渡しすることが、もっとも大切であることに変わりない。(ゴナール: 11)

 

参考文献・楽譜:

川合 清裕 2017 『メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~』(東京: 全日本吹奏楽連盟

フォート, アレン(Forte, Allen) 2012 『無調音楽の構造 ピッチクラス・セットの基本的な概念とその考察』 森あかね 訳 (東京: 音楽之友社)[The Structure of Atonal Music. (New Haven: Yale Univ. Press, 1973)]

ゴナール, アンリ(Gonnard, Henri) 2015 『理論・方法・分析から調性音楽を読む本』 藤田茂 訳 (東京: 音楽之友社)[Introduction à musique tonale, Perspectives théoriques, méthodologiques et analytiques. (Paris: Champion, 2011)]

レティ, ルードルフ(Reti, Rudolph) 1995 『名曲の旋律学 クラシック音楽の主題と組立て』 水野信男 他訳 (東京: 音楽之友社)[The Thematic Process in Music. (New York: Macmillan, 1951)]

全日本吹奏楽連盟 2016 「すいそうがく 全日本吹奏楽連盟会報」(『一般社団法人 全日本吹奏楽連盟』2016年12月)

http://www.ajba.or.jp/suisougaku203.pdf(2017年5月参照)

 

※このコラムの著作権は石原勇太郎氏に帰属します。無断転載等はご遠慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。

なお、本ブログ自体をシェアすることに関しましては、何ら問題ございません。皆様のコンクールを少しでも応援させていただくことができればと思っておりますので、是非当ブログのシェアをお願いいたします。

 

f:id:musicaeterna:20170709204022j:plain

石原 勇太郎 プロフィール

1991年生まれ、千葉県八千代市出身。12歳よりコントラバスを始める。2014年、東京音楽大学器楽専攻(コントラバス)卒業。同大音楽学課程修了。2016年、東京音楽大学大学院 修士課程音楽学研究領域修了。現在、同大大学院 博士後期課程(音楽学)在学中。平成28年度給費奨学生。専門は、A.ブルックナーを中心とするロマン派の交響曲
2014年、《天空の旅―吹奏楽のための譚詩―》で第25回朝日作曲賞受賞。2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用される。以降、吹奏楽を中心に作品を発表している。
これまでに、コントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を村田昌己、新垣隆、藤原豊、指揮を三原明人、尺八を柿堺香の各氏に師事、また大学4年次より藤田茂氏の下で音楽学の研究を進めている。日本音楽学会、千葉市音楽協会各会員。
作曲活動の他、曲目解説等の執筆、中学・高等学校の吹奏楽部指導やアマチュア・オーケストラのトレーナーを勤める等、幅広く活動している。

【コラム】課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口(課題曲IV:マーチ「春風の通り道」)

【コラム】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」

コンクール応援企画として投稿しておりますコラムもいよいよ終盤です。

第四弾は、課題曲IV:マーチ「春風の通り道」(西山 知宏)です!

音楽学から見た課題曲とは…

それでは早速、石原勇太郎氏による音楽学の世界へどうぞ!

 

文章:石原 勇太郎(音楽学

・課題曲IV:マーチ「春風の通り道」(西山 知宏)――作品の調計画

 西山知宏さんの《マーチ「春風の通り道」》は、《マーチ・シャイニング・ロード》と同じ調、つまりB-Durの主部とEs-Durのトリオで構成させています。しかし、《マーチ・シャイニング・ロード》とは違った調計画がなされているのが《マーチ「春風の通り道」》でもあります。

 《マーチ「春風の通り道」》は、B-DurからEs-Durのトリオ、そして練習番号HでB-Durへと戻ってきます。調の流れというのは、実は音楽の根底を支える力強い海流のようなものです。例えば、古典派の作曲家(例えばJ.ハイドンやW.A.モーツァルトなど)の交響曲やピアノ・ソナタを見てみると、その作品の主調で始まり、転調し、主調へ戻ってきて終わるという大きな基本的枠組みがあります。もちろん、《マーチ・シャイニング・ロード》のようにB-DurからEs-Durへ転調して、そのまま終わるというのも全く問題ではありません(G.マーラーやC.ニールセンの交響曲のように発展的調性(Progressive tonality)の作品として理解できます)。しかし、《マーチ「春風の通り道」》のように、最初の調へ戻るというのも、大きな意味を持っているのです。

 ソナタ形式では、主題が2つあり、それが再現されるというのが重要なのではなく、「調の回帰」と共に最初の主題が再現されるということが重要なのです。行進曲はソナタ形式ではありませんが、調が戻るという「エネルギー」は同じように存在しています。さらも興味深いことに、《マーチ・シャイニング・ロード》と同じく、《マーチ「春風の通り道」》でも主部の主題と、トリオの主題が練習番号Hで結合されています。つまり、ただでさえ主題が結合するというのは特別なことであったのが、調の回帰という要素も加わり、練習番号Hは特別に強調されることになるのです(そう考えれば、練習番号Hの1小節前のrit.は、B-Durのドミナントを強調するためのものだと考えることもできます)。

 調の流れをエネルギーとして捉え、理解しようとした20世紀の音楽学者たちを「エネルギー主義者(独:Energetiker)」と呼びます。今ではそのような考えを真面目にする人はいなくなってしまいましたが、エネルギー主義者たちは、音楽を「生きた状態」で説明したかったそうです。《マーチ「春風の通り道」》は、調ももちろん、主題、そして前奏も最終的に再現されます。この再現という要素も解釈のひとつのヒントになるかもしれません。

 

参考文献・楽譜:

西山 知宏 2017 『マーチ「春風の通り道」』(東京: 全日本吹奏楽連盟

 

※このコラムの著作権は石原勇太郎氏に帰属します。無断転載等はご遠慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。

なお、本ブログ自体をシェアすることに関しましては、何ら問題ございません。皆様のコンクールを少しでも応援させていただくことができればと思っておりますので、是非当ブログのシェアをお願いいたします。

 

f:id:musicaeterna:20170709204022j:plain

石原 勇太郎 プロフィール

1991年生まれ、千葉県八千代市出身。12歳よりコントラバスを始める。2014年、東京音楽大学器楽専攻(コントラバス)卒業。同大音楽学課程修了。2016年、東京音楽大学大学院 修士課程音楽学研究領域修了。現在、同大大学院 博士後期課程(音楽学)在学中。平成28年度給費奨学生。専門は、A.ブルックナーを中心とするロマン派の交響曲
2014年、《天空の旅―吹奏楽のための譚詩―》で第25回朝日作曲賞受賞。2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用される。以降、吹奏楽を中心に作品を発表している。
これまでに、コントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を村田昌己、新垣隆、藤原豊、指揮を三原明人、尺八を柿堺香の各氏に師事、また大学4年次より藤田茂氏の下で音楽学の研究を進めている。日本音楽学会、千葉市音楽協会各会員。
作曲活動の他、曲目解説等の執筆、中学・高等学校の吹奏楽部指導やアマチュア・オーケストラのトレーナーを勤める等、幅広く活動している。

【コラム】課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口(課題曲Ⅲ:インテルメッツォ)

【コラム】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」

第三弾は、課題曲Ⅲ:インテルメッツォ(保科洋)です!

音楽学から見た課題曲とは…

それでは早速、石原勇太郎氏による音楽学の世界へどうぞ!

 

文章:石原 勇太郎(音楽学

課題曲IIIインテルメッツォ(保科洋)――他作品との関連、作曲者と解釈者

 

保科洋さんは、皆さんも良くご存知の作曲家だと思います。《インテルメッツォ》では、同じ作曲家の他作品との関連、そして作曲者と解釈者の関係について考えてみたいと思います。

 《インテルメッツォ》に見られる、保科さんの美しい書法に、《風紋》などとの類似を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。保科さんのように、多くの作品を発表している作曲家であれば、作品の比較は十分に可能です。

 

 平行に下行してゆく付加音を伴う和音、簡素な旋律、香りの立ち昇るような上行音型が連続する繊細な前奏は、《インテルメッツォ》にも《風紋》にも共通します。また、《インテルメッツォ》の練習番号5のファンファーレ風の主題も、《風紋》との類似を見出せるかもしれません。類似を見出すのは、ただ似ていることを確認するのではなく、解釈の幅を広げるためです。例えば「《風紋》ではこの音型がこう考えられているけれど、《インテルメッツォ》ではどうだろうか」というように、比較を通して《インテルメッツォ》を客観的にとらえていくことが可能になります。この方法は、クラシック音楽の作品の解釈では頻繁に使用されます(冒頭で触れたフローロスの著書でも多用されています)。

 

 また、全日本吹奏楽連盟の会報『すいそうがく』に寄せたエッセイで、《インテルメッツォ》について保科さんは次のように書いています――「Intermezzo」は「歌(音楽の原点)のある曲」を意図して作ったつもりですが、「歌心」を楽譜(スコア)に記すのには限界があります。[中略]スコアに書けない「歌」を行間から感じ取って演奏していただければこれに勝る喜びはありません!たとえそれが作者の意図とかけ離れた表現であっても…(『すいそうがく』: 3)。これは音楽解釈学的な見解です。「スコアに書けない「歌」を行間から感じる」ことは解釈に他なりません。「開かれた作品」の概念で有名な哲学者U.エーコは、芸術作品について「完成され閉ざされた形としての芸術作品は、同様に開かれたものでもあり、無数の異なる仕方で解釈されうるが、その結果、複製不能な独自性が変質することにはならないのである。こうして享受とはすべて解釈にして演奏=上演なのである。なぜなら、それぞれの享受において作品はある独創的な視点のもとに甦るのであるから」(エーコ: 37-38)と述べています。

 

 作曲者が述べたことが絶対である、というのはいつの時代にも言われてきました。しかし、作品と真摯に向き合って生まれた解釈が、たとえ作曲者が思いもしなかったものであっても、作品の本質を捻じ曲げることはありません。しかし、それは様々な情報を集め、分析を行い、音楽と向き合った「真摯」な場合に限ります。解釈の名を借り、楽器や音そのものを変えたり、指定とは全く異なるテンポ設定を行うことを、音楽解釈学では解釈と呼びません。あくまで、そこにある音楽と、その奥にいる作曲者と私たち解釈者が対話した中から生まれてくるものを解釈と呼んでいるのです。題名のIntermezzoの語源は、「中間」という意味のラテン語intermediusです。《インテルメッツォ》は解釈と言う、「楽譜」と「演奏」の「中間」で行う行為を、最も探求できる課題曲のひとつと言えるのではないでしょうか。 

 

参考文献・楽譜:

エーコ, ウンベルト(Eco, Umberto) 2011 『開かれた作品』 篠原資明 他訳 (東京: 青土社)[Opera Aperta. (Milano: Bompiani, 1967)]

保科 洋 2017 『インテルメッツォ』(東京: 全日本吹奏楽連盟

全日本吹奏楽連盟 2016 「すいそうがく 全日本吹奏楽連盟会報」(『一般社団法人 全日本吹奏楽連盟』2016年12月)

http://www.ajba.or.jp/suisougaku203.pdf(2017年5月参照)

 

※このコラムの著作権は石原勇太郎氏に帰属します。無断転載等はご遠慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。

なお、本ブログ自体をシェアすることに関しましては、何ら問題ございません。皆様のコンクールを少しでも応援させていただくことができればと思っておりますので、是非当ブログのシェアをお願いいたします。

 

f:id:musicaeterna:20170709204022j:plain

石原 勇太郎 プロフィール

1991年生まれ、千葉県八千代市出身。12歳よりコントラバスを始める。2014年、東京音楽大学器楽専攻(コントラバス)卒業。同大音楽学課程修了。2016年、東京音楽大学大学院 修士課程音楽学研究領域修了。現在、同大大学院 博士後期課程(音楽学)在学中。平成28年度給費奨学生。専門は、A.ブルックナーを中心とするロマン派の交響曲
2014年、《天空の旅―吹奏楽のための譚詩―》で第25回朝日作曲賞受賞。2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用される。以降、吹奏楽を中心に作品を発表している。
これまでに、コントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を村田昌己、新垣隆、藤原豊、指揮を三原明人、尺八を柿堺香の各氏に師事、また大学4年次より藤田茂氏の下で音楽学の研究を進めている。日本音楽学会、千葉市音楽協会各会員。
作曲活動の他、曲目解説等の執筆、中学・高等学校の吹奏楽部指導やアマチュア・オーケストラのトレーナーを勤める等、幅広く活動している。

【コラム】課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口(課題曲Ⅱ:マーチ・シャイニング・ロード)

【コラム】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」

第二弾は、課題曲Ⅱ:マーチ・シャイニング・ロード(木内涼)です!

音楽学から見た課題曲とは…

それでは早速、石原勇太郎氏による音楽学の世界へどうぞ!

 

文章:石原 勇太郎(音楽学

 

課題曲II:マーチ・シャイニング・ロード(木内涼)――主題の結合

 東京藝術大学の楽理科で音楽学を学んでいる木内涼さんの作品です。主部のB-Durに対してトリオで下属調のEs-Durに至るという、行進曲に典型的な調計画(Tonal plan)がなされています。

 《マーチ・シャイニング・ロード》の最も興味深い点は、スコアの中で木内さん自身が述べているように「後半[練習番号]J以降は、二つの主要な旋律が同時に登場」(木内: 2)する部分だと思います。練習番号Jで、垂直に結合される2つの主要主題とは、主部とトリオの主題のことです。主部の主題は、練習番号Aから提示される軽やかな主題。トリオの主題は、練習番号Eから提示されるなだらかな主題です。いくつかの主題が結合する例としては、W.A.モーツァルトの《交響曲第41番》や、A.ブルックナーの《交響曲第8番》が挙げられます。自分の専門分野で申し訳ないのですが、最後に全ての楽章の主要主題が垂直に結合されるブルックナーの《交響曲第8番》は、特別な意味があるのだと、ブルックナー研究の中では言われています。例えば、音楽学者J.クラウスは、全ての主題が結合されることで、交響曲が「永遠の時間を獲得した」のだと考えています(Kraus: 266)。このように、主題が結合するというのは、音楽的に非常に強い意味を持つものなのです。

 《マーチ・シャイニング・ロード》の場合に興味深いのは、結合される2つの主題の性格が正反対であることです。もちろん、トリオの旋律は練習番号Jではmarcatoの指示が与えられているため、多少主部の正確に寄りはします。しかし、やはりキャラクターの違いは楽譜上でも明確です。

 結合される際に、主部の旋律はB-DurではなくEs-Durになっていることも、解釈を作り上げるうえでひとつの鍵になります。練習番号JからをB-Durへ回帰させることも可能であったはずですが、木内さんはそうしませんでした。そこには作者の創造性が働いているのです。なぜEs-Durで主題を結合させたのか、いくつかの可能性が考えられます。このような問いは、無意味に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このような問いの連続の中で、音楽学者は音楽の解釈・意味を組み立ててゆくのです。

 

参考文献・楽譜:

2017 『マーチ・シャイニング・ロード』(東京: 全日本吹奏楽連盟

Kraus, Joseph C. 2001 “Musical time in the Eighth Symphony.” Howie, Crawford eds. Perspectives on Anton Bruckner. (Aldershot: Ashgate) 259-269. 

 

※このコラムの著作権は石原勇太郎氏に帰属します。無断転載等はご遠慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。

なお、本ブログ自体をシェアすることに関しましては、何ら問題ございません。皆様のコンクールを少しでも応援させていただくことができればと思っておりますので、是非当ブログのシェアをお願いいたします。

 

f:id:musicaeterna:20170709204022j:plain

石原 勇太郎 プロフィール

1991年生まれ、千葉県八千代市出身。12歳よりコントラバスを始める。2014年、東京音楽大学器楽専攻(コントラバス)卒業。同大音楽学課程修了。2016年、東京音楽大学大学院 修士課程音楽学研究領域修了。現在、同大大学院 博士後期課程(音楽学)在学中。平成28年度給費奨学生。専門は、A.ブルックナーを中心とするロマン派の交響曲
2014年、《天空の旅―吹奏楽のための譚詩―》で第25回朝日作曲賞受賞。2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用される。以降、吹奏楽を中心に作品を発表している。
これまでに、コントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を村田昌己、新垣隆、藤原豊、指揮を三原明人、尺八を柿堺香の各氏に師事、また大学4年次より藤田茂氏の下で音楽学の研究を進めている。日本音楽学会、千葉市音楽協会各会員。
作曲活動の他、曲目解説等の執筆、中学・高等学校の吹奏楽部指導やアマチュア・オーケストラのトレーナーを勤める等、幅広く活動している。

【コラム】課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口(課題曲Ⅰ:スケルツァンド)

 

【コラム】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」

本日より、コンクール応援企画として課題曲を用いてコラムを掲載します!

音楽学から見た課題曲とは…

それでは早速、石原勇太郎氏による音楽学の世界へどうぞ!

 

文章:石原 勇太郎(音楽学

●まえがき

 吹奏楽部顧問の先生、指導者の皆様、こんにちは。ここでは、本年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲を例として、音楽学の分野では、一般的にどのように音楽の解釈・分析が行われるかを、簡単にですが説明させていただきます。音楽学――すなわち、音楽を学問的に研究する世界では、「音楽解釈学」という長い学問的伝統を持つ分野が存在します。音楽解釈学の権威、音楽学者C.フローロスの『マーラー 交響曲のすべて』(前島良雄 他訳)という著書があります。著書の中で、フローロスはマーラーに関する歴史的・伝記的事実(書簡や、知人の証言)、マーラーの性格、そして交響曲の分析などを通して、対象となる交響曲の「解釈」を作り上げていきます。その過程は実にロマンティックでスリリングです。音楽を解釈することは、大変難しいことですが、吹奏楽指導の中で、学生と共にそれを作り上げることは、最後には良い結果をもたらすと思います。「音楽解釈」ももちろん、「音楽分析」にも完全なる正解というものはありません。上述のフローロスの研究も、常に称賛と批判が起こります。ここでは、課題曲の解釈や分析の可能性を見てゆきたいと思います。明確な答えを出すようなものではないですが、少しでも、音楽を解釈してゆくこと、音楽を分析することのヒントや入口になれば幸いです。それでは、それぞれの課題曲をそれぞれ異なる視点から見てみましょう。

 

●課題曲I:スケルツァンド(江原大介)――主題労作と音程、題名のイタリア語について

 課題曲としては2009年度全日本吹奏楽コンクール課題曲V《躍動する魂》でもお馴染みの、江原大介さんの作品です。《スケルツァンド》では、主題労作、音程、そして題名について見てみることにします。

 主題労作(独:thematische Arbeit)とは、作中に出てくる主題や動機を核として、作品を展開させてゆく方法を指します。《スケルツァンド》には色々な場面がありますが、全体に統一感を感じるのではないでしょうか。その要因のひとつが主題労作です。練習番号Bで本作の主要主題が提示されますが、22小節4拍目と23小節1-2拍目の音型が、《スケルツァンド》の核となる動機と言えるでしょう。さらに言えば、これらの動機は、すでに冒頭2小節以降で予告されています。主部へと戻ってゆく練習番号E以降では、この動機が逆行して現れます。一見関係の薄そうな練習番号Dからの抒情的な部分も、実はこの動機が隠されています。L.v.ベートーヴェンの《交響曲第5番》のように、作中で何度も動機が使用されているのです。

 もうひとつ、《スケルツァンド》の面白いところは、「三全音(増4度/減5度の音程)」が、和音の連結の中でふんだんに用いられていることです。この「三全音」は中世の時代には「音楽の悪魔(羅:diabolus in musica)」と呼ばれた不協和な音程で、R.ワーグナー以降には転調の手法としても好まれた個性的な響きを持つ音程です。例えば、冒頭1-2小節目はB-Durの主和音ですが、3小節目でE-Durのトニックが瞬間的に現れることで三全音の響きが生まれます(1-8小節は、分析方法によってはB-DurとE-Durの同時進行(Tonal dualism)と考えることも可能です)。

 最後に題名について考えてみましょう。「Scherzando」は「おどけて」というような音楽用語だと思います。これはもともと「予期しないような、嘘のような出来事」を表すイタリア語です。上で見たような「三全音」を駆使した転調や、拍子を変更することによる旋律のアクセントの変化が、予期しないような出来事を《スケルツァンド》にもたらすと言えるかもしれません。主題労作を用いた厳格な展開と、「三全音」を駆使した自由な転調が、《スケルツァンド》の魅力とも言えると個人的には考えています。いわゆる「標題音楽」ではありませんが、多様な分析方法を用いて、様々にアプローチ可能なとても興味深く素晴らしい作品であると思います。

 

※このコラムの著作権は石原勇太郎氏に帰属します。無断転載等はご遠慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。

なお、本ブログ自体をシェアすることに関しましては、何ら問題ございません。皆様のコンクールを少しでも応援させていただくことができればと思っておりますので、是非当ブログのシェアをお願いいたします。

 

f:id:musicaeterna:20170709204022j:plain

石原 勇太郎 プロフィール

1991年生まれ、千葉県八千代市出身。12歳よりコントラバスを始める。2014年、東京音楽大学器楽専攻(コントラバス)卒業。同大音楽学課程修了。2016年、東京音楽大学大学院 修士課程音楽学研究領域修了。現在、同大大学院 博士後期課程(音楽学)在学中。平成28年度給費奨学生。専門は、A.ブルックナーを中心とするロマン派の交響曲
2014年、《天空の旅―吹奏楽のための譚詩―》で第25回朝日作曲賞受賞。2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用される。以降、吹奏楽を中心に作品を発表している。
これまでに、コントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を村田昌己、新垣隆、藤原豊、指揮を三原明人、尺八を柿堺香の各氏に師事、また大学4年次より藤田茂氏の下で音楽学の研究を進めている。日本音楽学会、千葉市音楽協会各会員。
作曲活動の他、曲目解説等の執筆、中学・高等学校の吹奏楽部指導やアマチュア・オーケストラのトレーナーを勤める等、幅広く活動している。

 

【ニュース】「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」が明日からスタート!

ブログを1日の中で、2回更新することは滅多にありませんが…

どうしても告知させていただきたいことがあり投稿させていただきます!

 

皆様に見ていただきたい記事が、明日からスタートします!

その名も、「課題曲を例とした音楽解釈・音楽分析への入口」です。

課題曲の楽曲解説だけではなく、課題曲を通して、楽譜に書かれている作者からのメッセージをどのように紐解いていくか…が今回の解説ポイントです♪

 

このコラムの執筆は、吹奏楽コンクールの課題曲に採用され、現在は東京音楽大学大学院で音楽学を専攻していらっしゃる、石原勇太郎氏です!

石原勇太郎氏の詳しいプロフィールは、公式サイトへ!

石原勇太郎 公式サイト

 

課題曲ということで、明日から順番に課題曲Ⅰ〜課題曲Ⅴまで、ブログにて公開していきます。この夏、コンクールまでに理解しておきたい音楽学的な視点から見たポイントをおさらいしてみてはいかがでしょうか?

 

明日からのコラムに、是非ご期待くださいませ!

 

ムジカ・エテルナは、皆様の選曲のお手伝いを全力でサポートさせていただくと共に、

吹奏楽コンクールに出場される皆様を全力でサポートさせていただきます!!!